2017年8月15日火曜日

「DCリバース」ついに始動。今後の新展開を解説!



アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!

ShoPro Booksでは、これまでDCコミックスの様々な作品を邦訳刊行してまいりました。

そしてこの夏、現行のDCコミックスの最新シリーズである「DCリバース」の刊行を開始します! その口火を切るのが、今月初旬に刊行された、「DCリバース」全作品のイントロダクションとなる『DCユニバース:リバース』です。

DCユニバース:リバース
ジェフ・ジョーンズ[作]
ゲーリー・フランク他[画]
定価:本体1,500円+税
◆好評発売中!◆


今後のDCコミックス全体に関わる重要タイトルですので、ぜひお手に取っていただきたい作品です。

ところで、「DCリバース」とはそもそもなんなのか? そこのところがいまいち飲み込めていない方もいらっしゃるかもしれません。ということで今回は、このシリーズの概要をご説明したいと思います。

皆さんご存知のとおり、DCコミックスはアメリカンコミックを代表する創業1934年の老舗出版社。抱えるキャラクターの数も多く、そのストーリーラインは多岐にわたります。場合によっては矛盾することもあるそれらのストーリーラインを整理するために、同社では「多元宇宙(マルチバース)」という概念によって全作品の世界を構成しています。この多元宇宙は平行世界(パラレルワールド)と理解してもいいでしょう。メインのストーリーラインを中心に、パラレルな世界を行き来するのが、DCユニバースの基本的な世界観です。

そして、長期連載によって設定が複雑になりすぎた場合には、世界観そのものをリセットして一から再始動することがあります。たとえば1985年の「クライシス」や2011年の「フラッシュポイント」などがそうです。以前にはアース1やアース2といった平行世界がありましたが、それが「クライシス」によって一つのアースに収束されました(2005年の「インフィニット・クライシス」以降は少し時間軸が修正されたため、「ニュー・アース」と呼ばれています)。その後、2011年の「フラッシュポイント」によって世界が大きく改変され、現在の「プライム・アース」へとつながっていきます。そのため、一口に“正史”と言っても、その正史の舞台(アース)そのものが都度変わっています。

細かいことを言えば「アース1」「アース2」「ニュー・アース」「プライム・アース」に区分することになりますが、1985年の「クライシス」以前の正史世界はアース1、「クライシス」以後はニュー・アース、2011年の「フラッシュポイント」以降の現在はプライム・アースと大枠でとらえていても問題はないでしょう。

上記のような経緯を経て、DCユニバースは「リバース」と呼ばれる新体制に突入しました。2011年9月のリランチ(NEW 52 !)は従来の設定を大幅に変更した“世界改変”でしたが、今回のリバースは前回のリランチの設定を引き継いだ、いわば“新章突入”といってもいいでしょう(一部設定が変更されている部分もありますが…)。

このような流れのなか、今回ご紹介する『DCユニバース:リバース』は刊行されました。その気になる中身はというと……


▼本書紹介文より引用▼

ウォリー・ウェスト(三代目フラッシュ)は、彼の先輩にあたるバリー・アレン(二代目フラッシュ)が引き起こした“フラッシュポイント”事件によって、現実の時空間から追放され、次元の狭間に囚われてしまった。虚無の空間を彷徨うウォリー……かつてキッド・フラッシュと名乗り、フラッシュの名を受け継いだ彼だけが、この世界の謎を見ることができる。いったい誰が“失われた10年間”を盗んだのか? ウォリーは地球に戻らなければならない。彼の愛する人たちが避雷針の役目を果たしてくれるはずなのだが、誰に接触を試みても、彼はますます世界から遠ざかり、真の消滅へと近づいていく……全宇宙の運命は、ウォリーの再生にかかっているのだ!

▲本書紹介文より引用▲


ちなみに本書は、新シリーズの第一弾ということ以外にも見所があります。それは、かの名作『ウォッチメン』との関わりです。刊行から年月が経っても、いまだに熱烈なファンを生み出し続けている同作がどのように関わっているのか、それはここではあえて触れません。ぜひ、お手に取って、ご自身の目でお確かめください。


さて、ShoPro Booksでは 、「リバース」シリーズの刊行開始に際しまして、今月もう二作品同シリーズの作品を刊行いたします。『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』と『ワンダーウーマン:ザ・ライズ』です。

今回はそのうちの『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』をご紹介したいと思います。

スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン
ピーター・J・トマシ[作]
パトリック・グリーソン[作・画]
ダグ・マーンキ他[画]
定価:本体2,300円+税
◆2017年8月23日頃発売◆

本書は「DCリバース」のスタートに際し、2016年6月に刊行された序章的な『スーパーマン:リバース』と、それに続いて9月まで毎月2号のペースで刊行された『スーパーマン』#1-6をまとめた単行本になります。ここで登場するスーパーマンは、ニュー52!で活躍したスーパーマンではなく、「インフィニット・アース」後に登場したスーパーマンです。彼はロイス・レーンと結婚し、息子も生まれていました。なぜ別のアース(次元)にいた彼が、メインのアースに現れたのか? また先代(ニュー52!)のスーパーマンよりも経験豊富な壮年のスーパーマンが、力が覚醒しつつある息子とともにどのような活躍をみせるのか? などなど、こちらの作品も見どころが満載です。


▼本書紹介文より引用▼

鋼鉄の男が第二の故郷を守るために命を落とした時、彼の体現する真実と正義は永遠に失われたかと思えた。しかし、それを遠くから見つめるもう一人のスーパーマンがいた。より年齢を重ね、経験と知恵を身につけたスーパーマン。さらに彼は妻のロイス・レーンと、息子のジョナサン・ケントを伴っていた。
とある消え去ったユニバースから逃れてきた彼が、表舞台に現れる。いまは亡きもう一人の自分の名前を継承して、地球で最も偉大なヒーローとして飛び立つために。だが、この次元にたどり着いたクリプトン星の生き残りは、彼だけではなかった。
“エラディケイター”として知られる人工知能体が、エル家の生存者を追う。彼の目的はクリプトン星人の遺伝情報の保存のみであり、他の生命体に対する考慮は一切ない――たとえそれが、カル=エル――つまりクラーク・ケントの血を継ぐ者であったとしても。
果たしてスーパーマンの息子は、目覚めたばかりの能力を使いこなして、地球人としての自分をまっとうすることができるのか? それとも母なる世界の灰のなかから、新たなクリプトン星人として生まれ変わってしまうのか?

▲本書紹介文より引用▲


と、ここまで駆け足でご紹介してきましたが、ShoPro Booksでは今後も「DCリバース」の作品を続々刊行する予定です。ぜひお楽しみにしてください。

それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!

(文責:山口)


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