2017年6月27日火曜日

完結目前のハーレイ第5弾、ついにジョーカーと直接対決!



「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!

梅雨真っ只中。はっきりしないお天気が続いていますが、空模様のようにどんよりした気持ちになっていませんか? そんなときは、はっきりしたキャラクターが活躍するコミックを読んで、少しでもすっきりしてみるのもいいかもしれません。

超・直情径行で、髪の色も左右ではっきりキッパリ。

はっきりしすぎな彼女、ハーレイ・クインの新作などはいかがでしょう。

ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中◆

ご紹介するのは『ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ』。

「The New 52!」シリーズとして『ホット・イン・ザ・シティ』から続くハーレイ・クイン主演作の第5弾です。

バックナンバーは以下のとおり。ストーリーも上から順に進んでいます。

ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ
シリーズ1作目。シリーズを通してレギュラーとなるキャラクターたちも登場。なぜハーレイが常に金欠なのかなどもわかる、この単独主演作の幕開けとなった一冊です。

ハーレイ・クイン:パワー・アウテイジ
シリーズ2作目。南海の孤島から宇宙、果てはコミコン会場まで、ハーレイがTPOをわきまえず大暴れ! パワーガールとのチームアップも楽しめます。

ハーレイ・クイン:キス・キス・バン・スタブ
シリーズ3作目。親友ポイズン・アイビーの助言もあり、忙しすぎるハーレイはワークライフバランスの改善を図ることに。急募! ハーレイのアシスタント!
こちらのブログでもご紹介しています。

ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ
シリーズ4作目。ギャング・オブ・ハーレイズが本格始動します! デッドショットのゲスト出演もあり、ハーレイの忙しさもハチャメチャぶりも最高潮に。
くわしくはこちらの記事をどうぞ。


それでは、最新作、第5弾のあらすじをご紹介しましょう。

ハーレイ率いる花の乙女の自警団、ギャング・オブ・ハーレイズ。彼女たちが市民のために戦っている間に、メイソン・マカベはハーレイがもっとも足を踏み入れたくない場所……アーカム・アサイラムへと移送されてしまう。そしてその恐るべき場所で彼に目をつけたのは、ハーレイと決裂した彼女の“生みの親”。犯罪界の道化王子こと、ジョーカーその人だった。
因縁の二人がついに再会を果たす。真実の愛を語るとき、ハーレイは冗談など言わない!

――そうなのです。

読者の誰もが待ち望んでいた、ハーレイとジョーカーの直接対決がついに描かれるのです!

不慮の事故とはいえ、市長の息子を殺してしまったメイソン。それを恨む市長が、刑務所内でのゴタゴタとして片付けてしまおうと、収監中のメイソンについて暗殺命令を出しました。それを知ったハーレイは、別の安全な刑務所に彼を移すよう、市長に力ワザで要請します。後日、メイソンが移送されると聞き、安心したのも束の間。メイソンの新たな収監場所は、あのアーカム・アサイラムだったのです! ハーレイはいても立ってもいられず、ジョーカーの待ち受ける“かの場所”へ踏み込みますが――。

ごくごく平たく言うと、ハーレイが今カレを救うため、DV気質の元カレの懐に飛び込むことになるという状況。一般的なかよわき女性であれば、涙で語り情にうったえるところでしょうが、拳で語り力にうったえるのがハーレイです。とはいえ、相手はあのジョーカーですから、一筋縄ではいかないのは当然ですね。メイソンはかつてのハーレイのように、ジョーカーの狂気にのみ込まれてしまうのか? そしてまだハーレイに執着を見せるジョーカーに対し、彼女はどう立ち向かうのか? どうなる、ハーレイ!? これが最終巻じゃないなんてどうかしている(?)ぐらい、見逃せない内容になっていますよ!

そのほか、限定配布の特別号に掲載された読み切り『願い事にはご用心(原題:BE CAREFUL WHAT YOU WISH FOR)』も収録されています。ひょんなことから魔法のランプを手に入れたハーレイが、ランプの精霊にいろいろなお願いごとをするというストーリー。こちらはジャスティス・リーグの面々が登場したり、ハーレイが出演する過去作品のパロディが描かれていたりと、楽しくて気軽な内容です。ランプの精霊にハーレイが「ジョーカーをナイスガイにして!」と願うと……。

ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ』本編より

このあとどうなるかは、読んでのお楽しみ。

パロディ元は『バットマン:マッドラブ』。このシーンを知っていると、ジョーカーの“ナイスガイ”ぶりがさらにコミカルに感じられるはずです。

バットマン:マッドラブ 完全版
ポール・ディニ[作]ブルース・ティム[訳]
定価:本体1,600円+税
◆好評発売中◆

そして精霊さん、なぜかワンダーウーマンの歴史にもやたらと詳しい様子です。

ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ本編より

1942年登場の初期コスチュームから、「The New 52!」バージョンまで仰せのままに再現できるという自信ぶり。しかし、さしものジムさんも、リバース版のワンダーウーマンのコスチュームはまだ押さえていないようです。こちらも弊社から刊行予定なのでお楽しみに。

『ワンダーウーマン:ザ・ライズ(仮)』
グレッグ・ルッカ[作]リアム・シャープ[画]
◆8月23日頃発売予定◆

空回るマジメさが笑いを誘うランプの精霊、ジム・サラビムさん。ハーレイの願い事はなかなかすんなり叶えてもらえないのですが、そこには英語ならではのすれ違いやカン違いがありました。きちんと読んでいくと、思いがけず英語の語彙も増えてしまうというオトクなストーリーです。

ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ本編より。
Buckは口語で1ドルを指すが、牡鹿という意味もある

この精霊は、本編の最後に予想外の変身を遂げます。この後も、リバース版の『ハーレイ・クイン』(レギュラー第3シリーズ)に準レギュラーとして登場するジムさん。新たな生き方を手にした彼の、新シリーズでの活躍にも期待です。

繰り返しのお知らせになりますが、この『ハーレイ・クイン』第2シリーズは、このあとも間をおかずに邦訳版の続刊が発売されます。アマンダー・コナー&ジミー・パルミオッティ夫妻と、チャド・ハーディンのタッグで愛されてきた第2シリーズも、残すところいよいよあと1作。この期に及んで(?)とても魅力的な新キャラも登場してしまうので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。

新作のリバースについての情報もいろいろと公開され、新しい展開も気になるところではありますが、こちらのシリーズもどうぞ最後までお付き合いください!

それではまた。来週の更新もお楽しみに!

(文責:鈴木)


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2017年6月20日火曜日

世界最凶の追跡劇『デスストローク:スーサイド・ラン』



アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!

今週ご紹介するのは、6月7日に発売された『デスストローク:スーサイド・ラン』です。

デスストローク:スーサイド・ラン
トニー・S・ダニエル他[作]タイラー・カークハム他[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中!◆


世界最強の傭兵にして暗殺者、デスストロークことスレイド・ウィルソン。DCコミックスきってのアンチヒーローの最新刊です。

前巻『デスストローク:ゴッド・キラー』では、なんと神の暗殺をやってのけたスレイド。さすが“世界最強の傭兵”の異名は伊達じゃありません。

デスストローク:ゴッド・キラー
トニー・S・ダニエル他[作]タイラー・カークハム他[画]
トム・モリー他[彩色]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中!◆

今回は、そんな彼の過激な追跡劇が繰り広げられます。

DCユニバースでもトップクラスの戦闘能力を誇る彼の唯一の泣きどころ、それは愛娘ローズと愛息ジェリコ、二人の子供たちでした。自分の命と引き替えにしても構わない存在ローズが行方を消し、追跡劇が始まります。ということで、まずは本作のあらましからご紹介します。

▼あらすじ▼

デスストロークことスレイド・ウィルソン。最強の傭兵にして暗殺者。彼の手にかかれば、どんな標的も逃げることはできない。そんな彼の娘ローズが姿を消した。失踪の鍵を握るのは、スーサイド・スクワッドきっての問題児ハーレイ・クイン。かくしてスレイドは、娘の行方をハーレイから聞き出すため、ベル・レーブ収容所に潜入する。しかしそこで待っていてのは、血に飢えたメタ・ヒューマンやスーパーヴィランたちだった。血で血を洗う追跡劇の果てに、どんな結末が待っているのか!?


▲あらすじ▲


他のヒーローコミックスとは、ひと味もふた味も違うハードコアでハードボイルドな魅力を持ったデスストローク。前巻、前々巻に続いて本作でも、ひとコマごとに血しぶきが読者に届きそうなバイオレンスアクションが展開されます。ではここからは、その魅力を中面とともに紹介します。

物語冒頭、ベル・レーブ収容所(※スーサイド・スクワッドの面々が収容されているメタヒューマンやスーパーヴィラン専門の刑務所)への侵入を試みるスレイド。その目的は?


スレイドの目的、それはスーサイド・スクワッド最狂の問題児ハーレイ・クイーン。ローズが行方をくらませた家に残されていた死体、そこにはハーレイからと思しきメッセージが残されていたのでした。


スレイドの侵入によって、ベル・レーブ収容所のセキュリティシステムが破綻。それに乗じて凶悪なメタヒューマンが逃亡します。その名は「スネーク・バイト」。


そこから物語は展開し、レックス・ルーサーの思考をコピーしたAIが搭載されたロボット、レックスボットやビザロと思しきクリプトン人のクローン、さらにはレッドフードとの激闘が繰り広げられます。





ノンストップで展開されるアクションの果てに、デスストロークが目にするものとは……それは本編を読んでお確かめください。

さて、アメコミ初心者にはあまりなじみのないデスストロークですが、これまでドラマ『ARROW/アロー』やゲーム『バットマン:アーカム・ナイト』などに登場し、日本でもフィギュア化されるなど、マニアの間では知られた存在です。今後、DCエクステンデッド・ユニバースの展開次第では、映画への登場も想像に難くないキャラクターですので、今からコミックでチェックしておくことをオススメしいたいと思います。

それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!

(文責:山口)


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2017年6月13日火曜日

ウルヴァリン、X-MEN加入前の知られざるストーリー



「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!

6月に入ってじわじわと暑くなり、ちょっと疲れ気味…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々に今週も、疲れを忘れさせてくれるアメコミの最新情報をお届けしていきます!

アメコミファンにはうれしいことに、現在公開中で第ヒットしている映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』や『ローガン』、また8月に公開予定の『スパイダーマン ホームカミング』など、マーベル作品の映画化が目白押しです。


「シーズンワン」シリーズの魅力


映画『ローガン』のウルヴァリンは、すでに年老い、無敵のスーパーパワーを失った生身の人間として描かれていますが、今回ご紹介するタイトル『ウルヴァリン:シーズンワン』はまさにその対極にある物語といえます。

『ウルヴァリン:シーズンワン』
ベン・アッカー&ベン・ブラッカー[作]サルバ・エスピン[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●

今ではX-MENの中でも特に高い人気を誇るウルヴァリンですが、彼がX-MENに入る以前の物語、まさしくヒーローになる前の知られざる秘話が明らかになるというストーリーとなっています。

本書のタイトルにあるとおり、「シーズンワン」シリーズは、近年の映画でマーベルヒーローの魅力を知った新しいファンに向けて展開されるストーリーです。

本書だけでなく、弊社から『アベンジャーズ:シーズンワン』『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』『X-MEN:シーズンワン』『アントマン:シーズンワン』などを刊行しています。お気に入りのキャラクターのオリジンを知りたい方は、ぜひこれらを読んでみてください。誕生秘話を知ることで、そのキャラクターの個性や能力について深く理解できるようになり、今後の作品についてをもっと楽しむことができるはずです。

――この「シーズンワン」というシリーズの特徴は、おなじみのヒーローたちのオリジンを、現代風のアレンジを加え、わかりやすい読み切りのエピソードにまとめている。また、巻末には試し読み用に最新のコミックが収録され、キャラクターをもっと知りたい人に格好の入門書となっている――(以上、翻訳者・光岡三ツ子さんによる本書解説から抜粋)

本書の設定は、映画でウルヴァリンのファンとなった方々にもわかりやすい作品にするために、原作をかなりアレンジしたもので、新たなストーリーとして展開しています。

どこから読み始めればよいのか、つい迷ってしまうアメコミですが、上記のようなコンセプトで組み立てられているため、あくまでもわかりやすいストーリー展開と人気キャラクターの初期エピソードで構成されているという点で、アメコミ初心者には特にオススメの一冊といえるのではないでしょうか。


ウルヴァリンの知られざる過去


ワイルドなスーパーヒーローというイメージが強いウルヴァリンですが、X-MENに入る前には誰に知られることのない歴史がありました。

ローガン=ウルヴァリンとして知られるこの人物は、カナダ生まれで裕福な家庭の子どもとして育ちました。しかし、怒りにまかせ自分の殺した男が実父だったという衝撃の事実や、子どもの頃からの遊び相手だった女性を誤って刺してしまったこと。さらに、愛した女性を他のミュータントに殺されてしまったことなど、多くの悲劇と苦悩を背負いながら生きてきたのです。

そんな折に、カナダ政府の人間兵器開発計画「ウェポンX計画」の被験者となり、科学者たちによって骨にアダマンチウムを融合され、現在のウルヴァリンの特徴が形成されます。政府機関から逃げ出したウルヴァリンは、森林に逃げ込みまるで野獣のような暮らしをおくっていたのです。本書はそんなところから物語が始まります。

▼あらすじ▼

カナダの荒野で暮らす男は、自分よりも圧倒的に大きな野獣・ウェンディゴと戦い、重傷を負って倒れていた。カナダ政府の特殊機関に保護され、戦士としての訓練を受けた彼は、おなじみのコスチュームをまといウルヴァリンとなる。ハルクとの初対決や、因縁の敵セイバートゥースとの再会で激しい戦いが繰り広げられていく。はたして、野獣のようなウルヴァリンはX-MENへと続いていく道をどのように切り開いていくのだろうか……。

▲あらすじ▲


舞台はカナダの原野。つまり、スパイダーマンやデッドプールのように大都会での戦いが展開されるのではなく、そこに暮らすたくさんの人々を守るようなかっこいいヒーロー的活躍を見せるわけでもありません。終始、泥くさい自然の中で誰に見守られるわけでもなく、ただただ孤独な戦いが繰り広げられるところが、本書の一つの特徴といえるでしょう。


ウルヴァリンの新たな魅力が全開


そこでは、全編を通じて様々な敵との激しいアクションが展開していきます。ウェンディゴ、ハルク、セイバートゥース、カナダ政府が開発したエクソスーツなど、巨体で超強力な相手とのバトルは、体と体とのぶつかり合いであり、「スタイリッシュ」からは程遠い肉弾戦ともいうべきもので、壮絶を極めます。ウルヴァリンは殴られ、噛まれ、踏まれ、投げられ、血まみれになり、意識朦朧の戦いを強いられ、瀕死の状況に陥るすさまじさ。他作品にはない大きな見どころとなっています。

しかし、本書の魅力はこのアクションシーンだけではありません。「ほとんど野獣」のようなウルヴァリンがはたしてどのように変わっていくのか。その過程にもぜひ注目してください。始めは怒りや不安に駆られると、手のつけようのない凶暴さを露にしていたのですが、ある人物との出会いと献身的なサポートにより、彼は次第に自分の獣性をコントロールできるようになり、人間性をなんとか保つように奮闘し始めます。それは敵ではなく、自分との戦いであり、新たな自分を獲得しようともがく姿であり、ヒーローになる前の彼の試練なのです。その試練をどう乗り切るのか。その行動こそが、のちにヒーローとなるウルヴァリンにつながっていくのではないでしょうか。

つまりこの物語は、X-MENとして活躍する前のウルヴァリンの資質が形成される過程であり、この人気ヒーローの原点が刻まれている作品だと言えるのです。

また、今やおなじみのウルヴァリンのコスチュームですが、これを初めて着るシーンをぜひお楽しみに。どのような流れで着ることになるのか。人気キャラクター誕生の瞬間に立ち会えるのも、本書の醍醐味です。

さらに、巻末に収録されているお試し読み用の一話も、本書のお楽しみです。収録作は、ウルヴァリンが若きミュータントたちを育てる学校の校長として活躍する物語。

えっ、校長?

そうなんです。

本編との内容にギャップがありすぎますが、ここではヒーローとしての活躍ではなく、若者たちを危険な現場で直接指導する教育者としての姿が描かれ、彼のまた違った側面が見られます。本編で描かれるオリジンストーリーと合わせて、これまたウルヴァリンの知られざる部分が明らかになります。

さて、本書でウルヴァリンの新たな魅力にふれることで、「はまってしまった!」、「ウルヴァリンについてもっと読みたい」という読者が出てくるかもしれません。そんな方にぜひおすすめしたいのが、来週刊行する『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』です。

『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』
ジェイソン・アーロン[作]アダム・キューバート他[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●

なんと、ウルヴァリンが日本にやって来て大暴れ、という内容です。日本で待ち受ける敵とは誰なのか。ウルヴァリンの運命はいかに・・・。

▼あらすじ▼

謎の男が忍者集団ハンドとヤクザの抗争をあおり、日本の闇社会の支配権を握ろうと画策する。その謎の男は、セイバートゥースらを仲間にしたうえ、シルバーサムライの若き息子を引き入れるために、その恋人アミコを誘惑する。
しかし、それが彼らの誤算の始まりだった。なんと、アミコはウルヴァリンが引き取り、可愛がっている養女だったのだ……。

▲あらすじ▲


大人気のウルヴァリンから今後も目が離せません。こちらもぜひお楽しみに!

それでは、また来週お会いしましょう。

(文責:木川)


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2017年6月6日火曜日

正反対の力を持つ“二人の天才”によるチームアップ!



アメコミ魂をご覧の皆様、こんにちは!

先日、六本木ヒルズで開催中の「マーベル展」に行ってきました!


「マーベル展」でドクター・ストレンジが大注目!


会場に入ると、いきなり巨大アイアンマン像があったり、撮影禁止でお見せできないんですが、貴重な生原稿、キャプテン・アメリカやドクター・ストレンジなどの等身大フィギュア、そして個人的に一番見応えがあったアイアンマンの歴代アイアン・アーマーの展示など、見どころ満載のイベントとなってます(※東京では、6月25日まで開催中です)。


ところで話は変わりますが、先日発売した小社刊『マーベル・アベンジャー事典』、皆さま手に取っていただいたでしょうか?

ヒーローチーム「アベンジャーズ」に関わった全てのヒーローを1人1ページずつ紹介する本書は、アメコミ勉強中の私には正直「神」のような本なんです!

ヴィレッジヴァンガードイオンモール日吉津様のTwitterでも「もうね、少しだけ読みましたけど、すごい!死ぬまで読んでられる物になってます!」と熱いツイートがありました!(ありがとうございます!!)

アラン・カウシル[著]
定価:本体3,000円+税
◆好評発売中◆

この本が面白いのは、ヒーローの能力を6項目に分けて7点満点で数値化していて、ゲームの攻略本みたいで大変分かりやすくなってるところです。例えば、ハルクは、腕力と耐久力は満点の7だけど、非物理攻撃は1(殴る蹴るだけってこと?)。人間であるホークアイ(クリント・バートン)は腕力3、耐久力2だけど、テクニックは7(女性をくどくテクニック?)……といった具合です。

そしてドクター・ストレンジも載っていて、腕力・耐久力・テクニックはそれぞれ2・3・3と低めですが、さすが魔術師だからでしょう、非物理攻撃は6、そしてそれ以上にスピードは7と最高点です。


ドクター・ストレンジもアベンジャーズの一員だったんですね!(スイマセン、初心者で……)

「マーベル展」でも、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどと並んで、ドクター・ストレンジは大々的にフィーチャーされており、ドクター・ストレンジの紹介パネルの前で、カップルが興奮気味に「おぉ、ドクター・ストレンジだ!」とつぶやいてました。

今年映画化されたこともあり、マーベル・ユニバースの中でも大注目のキャラクターなんですね!

展示されてた年表を見て知ったんですが、ドクター・ストレンジの歴史はかなり古く、初出は1963年の「ストレンジ・テイルズ」#110まで遡ります。もう既にご存じの方も多いとは思いますが、ドクター・ストレンジを簡単にご紹介します。

宇宙最強の魔術師。
かつての彼は優秀な外科医である一方、冷たく傲慢な性格だった。しかし、自動車事故で両腕の神経を損傷して二度とメスを握れなくなってしまった。
治療を求めて東の地の伝説的魔術師エンシェント・ワンに弟子入りし、長く厳しい修行の結果、地球を守る至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)となった。

2017年1月公開映画「ドクター・ストレンジ」で初めて知った人もいると思いますが、ドクター・ストレンジ関連本としては、小社からも既に『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』と『ドクター・ストレンジ:プレリュード』の2冊が刊行され絶賛発売中です。そして、3冊目となるのが、今回ご紹介する『ドクター・ストレンジ & ドクター・ドゥーム』です。


『ドクター・ストレンジ & ドクター・ドゥーム』の見どころ


ロジャー・スターン[作]マイク・ミニョーラ[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中◆

3冊目とはいえ、本書は読みきりエピソードなので、前の2冊を読んでなくても問題なく理解できる内容となってます(もちろん、前の2冊も読んでいただけたら大変うれしいです^^!)。

まずは、本書のあらすじ紹介から。

魔術を操る天才ドクター・ストレンジと、科学を愛する天才ドクター・ドゥーム。相反する力を合わせ、二人は魔王メフィストに挑む!

ファンタスティック・フォーの宿敵でもある天才科学者、ドクター・ドゥーム。彼は母親の魂を地獄から解放するための孤独な戦いに、何度も敗れていた。その戦いに手を貸したのが、天才脳外科医の魔術師、ドクター・ストレンジだった! まったく逆の力を武器にする二人は、魔王メフィストを倒し、母シンシアの魂を救うことができるのか。そしてそのために彼らが払わなければならない犠牲とは、いったいどれほどのものなのか……? 天才ヴィランと天才ヒーローによる、予想外のチームアップ。

◆収録作品:『ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム』、『ドクター・ストレンジ』#54、『アストニッシング・テイルズ』#8、『マーベル・ファンフェア』#16&#43


多くのエピソードが収録されて大変お得な1冊となってますが、その中でもメインエピソードの『ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム』は、マーベルの「グラフィックノベル・レーベル」として1989年に発表され、その名のとおり、小説のようなストーリー性に優れた作品となってます。

老ジェンギスが大魔術大会を開催する「起」、そこからドゥームの母を救うという主題が与えられる「承」、そして魔王メフィストとの対決のため冥界へ赴く「転」、読者の予想を裏切る戦いの展開とその結末を描いた「結」と、怒涛のごとく一気に78ページを読ませてくれます。私のようなアメコミ初心者には分かりやすくアマチュア・フレンドリーな作品です。

しかし、小説的だからといって、アメコミ最大の魅力であるキャラクターが疎かになっているわけではありません!

むしろ78Pと短い本編の中だけでも、「ドクター・ストレンジ」「ドクター・ドゥーム」「魔王メフィスト」「ドゥームの母シンシア」「老ジェンギス」など、個性豊かで魅力的なキャラクターが目白押しです。

中でも本書で最大の魅力を放っているのが、ドクター・ストレンジではなく、彼とチームアップするドクター・ドゥームだと個人的に思います。


最初、本書はドクター・ストレンジを主人公とした物語なのかなーと思って読み始めたのですが、読み進めるうちにすっかりドクター・ドゥームに感情移入してしまいました。本作でドゥームは、完全に主人公のドクター・ストレンジを食ってます!


魅力あふれるドクター・ドゥーム


ここで簡単にドクター・ドゥームをご紹介します。

科学の天才である一方、魔女である母の血を受け継ぎ、魔術にも秀でている。
並はずれて自尊心が強い一方、傷つき醜い素顔をつねに仮面で覆っている。
東ヨーロッパの小国ラトベリアの独裁者として他国から憎まれる一方、ラトビア国民からは深く愛されている。
ラトビア旧領主から迫害されたロマ民族の生まれで父母をラトビア軍に殺害されたが、自らの科学技術と魔力によりラトビア王位を簒奪した。
世界支配を目論む暴君だが、彼の最大の悲願は魔王メフィストに囚われた母の魂を解放することである。


どうですか!

彼の概略だけでも十分魅力が伝わってきませんか。

本書を読んでいると、彼が何を考え、どう行動するのか、気にせずにいられません。

なぜドクター・ドゥームは読者を魅了してやまないのでしょうか。

それは彼が、矛盾した人物だからだと思います。

独裁者なのに国民に愛され、魔術師の血が流れているのに科学技術を愛し、世界征服を目指しているのに母親一人の魂を救うためならどんな犠牲も厭わない……。

その意外性にやられちゃいます。

「普段突っ張っている不良少年が、雨の中で捨て猫を拾う姿をたまたま見て、クラス一の美少女が、その優しさにキュンとなって恋に落ちる・・・」

そんな気分です(笑)。

ぜひ皆さんも本書を手にとってドゥームの魅力に触れてください!


全てがつながっている!3つのエピソード


ところで、本書は以下3つの短編で成り立ってます。
(※他にネイモア・ザ・サブマリナーを主人公にした短編2つも収録)

(1)『ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム』(ライター:ロジャー・スターン、1989年発表)
(2)『アストニッシング・テイルズ』#8(ライター:ジェリー・コンウェイ、1971年発表)
(3)『ドクター・ストレンジ』#57(ライター:ロジャー・スターン、1983年発表)

実は、この3つの短編は(2)→(3)→(1)の順につながっています。

ライターのロジャー・スターンが、ジェリー・コンウェイが書いた(2)を読んで、ドクター・ドゥームにスポットを当てた(1)を最初に構想したのは1982年です。

「ドクター・ドゥームが本気で母親の魂を救う気があるなら、直接冥界にアタックするはずだ。だが、そのためには科学の力だけでは足りない。最強の魔術師の援助が必要なはずだ。しかし自尊心が高いドゥームがドクター・ストレンジに助力を乞うなど考えられない。そうだ、100年に一度の魔術師の世界大会を開き、優勝者は準優勝者の願いを一つ適えなければならない、というルールを設けよう。それによって、ドクター・ストレンジが地球最高の至高魔術師であるという正式なお墨付きを与えることもできる。」というアイデアを思い付きました。

その伏線として、ロジャー・スターンは自身の作品である、ドクター・ストレンジを主人公とした(3)で、ドクター・ドゥームがドクター・ストレンジに弟子入りしようかと一瞬考える、というシーンをさりげなく入れてます。足かけ6年に及ぶ壮大な伏線です!

このあたりの本作の成り立ちは、本書P144・145に、ロジャー・スターンのインタビュー記事として載っていて、大変読み応えがあります。(1)(2)(3)を読み終えた後に必ず目を通していただきたいです!

……本書について語りたい事はまだまだたくさんありますが、いい加減他の仕事もしないと周りに怒られそうなので、今週はこのあたりで。最後までお読みいただきありがとうございました! 来週の更新もお楽しみに。

(文責:小出)


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