2016年2月22日月曜日

『バットマン:真夜中の事件簿』に至るまでの道のり

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんにちは! 

今月224日頃から『バットマン:真夜中の事件簿』が順次発売になります。本書は「」シリーズ、「喪われた絆」、「ゼロイヤー」と続いてきた「ニュー52!」以降のバットマンを補完するエピソードを集めた短編集になります。そこで今回の「アメコミ魂」では、本書のご紹介の前に「ニュー52!」のバットマンシリーズをザザッと振り返ってみたいと思います。
バットマン:真夜中の事件簿
スコット・スナイダー他[作] グレッグ:カプロ他[画]
定価:2,200円+税
◆2月24日頃発売◆

新ユニバースとなる新生バットマン第一号は、悪の秘密結社「梟の法廷」の謎解きと恐怖の物語で幕を開けました。DCユニバースの構造を設定含めて再編したこのリランチで、本作初登場の「梟の法廷」という組織はその正体が完全な謎に包まれており、今までの設定を知らない新規読者でも十分に楽しめる内容になっています。
バットマン:梟の法廷
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ[画]
定価:2,200円+税
◆好評発売中!◆

前巻に引き続き、本書ではいよいよ「バットマンvs.梟の法廷」の最終決戦が描かれております。ゴッサムシティの完全支配を狙う「梟の法廷」は、不死身の暗殺者タロンを放ちバットマンに襲いかかります。ゴッサムシティを守るべく、奮闘するバットマンのアクションももちろんですが、ミステリー要素満載のストーリー展開によって読み応え十分な作品です。ミスター・フリーズの誕生秘話も描かれており、ペンギンといったお馴染みのヴィランも登場しています! また、本作のクロスオーバー作品にあたる『バットマン:梟の夜』も一緒に読んでいただければ、いっそう楽しめるかと思います。
バットマン:梟の街
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ[画]
定価:2,200円+税
◆好評発売中!◆

この第3巻では、あの最凶の男ジョーカーがゴッサムシティに帰ってきます。顔の皮を剥がされたジョーカーはこれまでより、はるかに残虐で凶悪となり、ゴードン本部長やアルフレッド、ロビン、ナイトウィング、バットガール、レッドフード、レッドロビンといった「ファミリー」にその魔の手が伸びます。バットファミリーが多数登場し、バットマンファンはもちろん、ジョーカーファンも満足の一冊。こちらもまた、本作のクロスオーバー作品にあたる『ジョーカー:喪われた絆〈上〉』『ジョーカー:喪われた絆〈下〉』を併読していただければ、より「喪われた絆」を楽しむことができます。
バットマン:喪われた絆
スコット・スナイダー[作]
ジェームズ・タインニンⅣ[画]
定価:2,000円+税
◆好評発売中!◆

そして、このあと「ゼロイヤー」シリーズによって、バットマンのオリジンが明らかになります

青年ブルース・ウェインの人間性、彼がバットマンになる決意など、オリジンにフォーカスした超重要エピソード。アルフレッドやゴードンといった、バットマンシリーズに欠かせない人物との関係や、リドラーことエドワード・ニグマ、レッドフードとの初遭遇も描かれます。バットマンが装備している数々のガジェットやその使い方を練習している貴重なシーンも見ることができます。レッドフードとの対決からリドラーが頭脳戦を仕掛けてきて次巻に続くという構成で、過去のエピソードをとてもドラマチックに描き直しています。また、メインストーリーだけでなく、ブルースに関する短編が3話とライターのスコット・スナイダーによる『バットマン#211稿も収録。スナイダーがいわゆる、ただの焼き直しにならないように、本書をどのようなコンセプトに基づいて描き上げたのかを知ることができます。
バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ[画]
定価:2,000円+税
◆好評発売中!◆

前巻のレッドフードとの激闘に続き、本作では悪の天才科学者ドクター・デスや高いIQを誇る知能犯リドラーがメインヴィランとして登場。戦いの規模が拡大し、ブルース・ウェインがコウモリから闇の騎士へと成長していく姿を描く、まさに完結にふさわしい内容となっています。ブルースが幼い頃、目の前で両親を射殺されるという悲惨な出来事によって、成長を余儀なくされ、身分を隠し放浪を経て、自ら自警団になるという決意をしました。そして、レッドフードの猛攻によって致命傷を負った時は、ついにバットマンとして生まれ変わりここに闇の騎士が誕生したのです。その後、本書においても幾多の死と再生を体験することによって、より強い存在へと進化していく……バットマンという、アメコミ界の象徴的ヒーローの原点には壮絶なドラマを描きます。過去エピソードのリメイクを越えて語り直された“ゼロイヤー”シリーズが、ここに堂々完結します。
バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ他[画]
定価:2,400円+税
◆好評発売中!◆
ここまでの長大なドラマを補完するのが、「ニュー52!」版の第6巻にあたる『バットマン:真夜中の事件簿』です。原書につけられた「グレイブヤード・シフト」という副題は、深夜勤務という意味で、原書のハードカバー版が発売された時には、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー・ランキング(コミック部門)で、初登場1位を記録しました。

本書には、『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街』の序章にあたる『バットマン』#0(「新しき昨日」「後継者たち」)、同じく『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街』のタイイン(外伝)にあたる『バットマン・アニュアル』#2(「妖婆」)、『バットマン・エターナル』を別視点から描き直した『バットマン』#28(「ゴッサム・エターナル」)など、計7冊分の読み切り、特別号のエピソードを収録しています。

「DCエクステンデッド・ユニバース」(DCコミックスの映画ユニバース)が本格的に始動する今年、バットマン周辺のノイズもグイグイ上がっていくハズ。本書を読めば、「ニュー52」以降のバットマンの物語をより立体的に楽しめること請け合いですので、ぜひお手に取って楽しんでください。

それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!
 


(文責・山口侘助)