2015年12月21日月曜日

アニメ作品で振り返る『ミュータント タートルズ』の歴史

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!

毎週アメコミ関連情報をお届けしている「アメコミ魂」、2015年は今回を入れて残すところあと2回になりました。

年の瀬が近づくと、翌年のアメコミ映画情報が色々と舞い込んできますが、先日、映画『ミュータント タートルズ』の続編『Teenage Mutant Ninja Turtles:Out of the Shadows(原題)』のトレーラーが解禁されました(映像はこちら)。

映像を見る限りでは、どうやらロックステディとビーバップがヴィランとして登場するようです。また、本作からケイシーがメインキャストに加わることもうかがえます。

きっと2016年も、タートルズが映画界に旋風を巻き起こすことでしょう。
ミュータント タートルズ:アニメイテッド
ケニー・バイアリー他[作]
ダリオ・ブリスエラ[画]
定価:1,800円+税
◆好評発売中!◆
今後もタートルズから目が離せないということもあるので、今回は、今月9日に『ミュータント タートルズ:アニメイテッド』が刊行されたこととからめて、タートルズのアニメ化作品の変遷について、小社刊行の『ミュータント タートルズ』シリーズを手がけた翻訳家・中沢俊介さんにお話をうかがいつつ、ご紹介していこうと思います。

さて、まずは1987年のアニメシリーズ(日本では91年にNHK衛星第二で短期放送、93年からテレビ東京で本格的に放送開始。以下、87年版アニメと表記)について。

60年代、ヒッピー文化のなかで生まれた独立系のコミックシーンが、カウンターカルチャーがすたれていくなかで一時期は衰退したのですが、70年代末期に再び盛り返して、ヒット作も生まれるようになりました。その潮流のなかで、ケビン・イーストマンピーター・レアードが自分たちの出版社、ミラージュ・スタジオから『ミュータント タートルズ』を出版したのが1984年。独立系のコミックがある程度認知されていて市場もあったなかで登場したのがタートルズです

その人気に目をつけたのがフリーのライセンスエージェント、マーク・フリードマンでした。独立系コミック市場でヒット作を狙っていたフリードマンは、4人(匹?)の亀たちに白羽の矢を立てます。ライセンス契約を結んだ彼がまずやったことは、グッズ展開。プレイメイツ・トイズ社を巻き込んで、タートルズのオモチャ開発に取り組みます。そして、オモチャを認知させるための次の一手がアニメ化でした。

87年版アニメは、結果として96年まで続く長寿アニメとなりました。原作とは別に、アーチー・コミックスからこのアニメを元にしたコミックが出版されるなど、高い人気を得たシリーズですが、ミラージュ・スタジオのオリジナルとは異なるイメージで、原作者2人はあまり関わっていない作品となりました

87年版アニメが終了したあと、日本のオリジナルOVA作品『ミュータント・タートルズ 超人伝説編』を挟んで、03年に第2弾シリーズ(以下、03年版アニメ)の放送がスタートしました。

FOX内のチャンネル、4KIDS TVで放送された03年版アニメは、7シーズンが作られる長寿シリーズになりました。日本でも放送されて、このシリーズでタートルズを知った若いファンも多いようです。頭身が上がり、エピソードもミラージュ・スタジオのオリジナルコミックの影響を受けていて、デザイン面、設定でオリジナルを彷彿とさせることが特徴です。その頃にはタートルズの認知度も上がり、オリジナルに忠実であることを求めるファン層ができあがっていました。また、原作者の一人、ピーター・レア―ドもプロデューサーとして関わっていました

そして、2012年に『ミュータント タートルズ:アニメイテッド』の元になるCGアニメシリーズ(以下、12年版アニメ)の放送が開始されます。ちなみにこのシリーズは、テレビ東京系列で20144月から9月の間に放送されたので、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

原作者たちは、前のシリーズで燃え尽きてしまったのか、2011年に権利を売却しています。なので、この12年版アニメを含めた現行のタートルズのシリーズにおいて、2人はライセンスホルダーではありません。とはいえ、現在3巻まで邦訳版が刊行されているIDWのコミックシリーズ(紹介記事はこちら)には、原作者としてケビン・イーストマンが関わっています。12年版アニメでは、キャラクターがカートゥーン調になったり、“!”や“?”が画面に表示されたり、独自な演出が加わっています。とはいえ、キャラクターの設定などはそれまでの様々の集大成といえるような作品になっています。現時点で4シーズンまで製作されて、安定した人気を得ているようですね。12年版アニメを元にした『ミュータント タートルズ:アニメイテッド』は、絵柄もカートゥーン調でコミカルな面が強調されています。設定やエピソードもアニメとリンクしていて、合わせて読むと一層楽しめるように作られています

『ミュータント タートルズ:アニメイテッド』より、翻訳者・中沢氏お気に入りの見開きをご紹介。
ゾンビ映画にツッコミを入れながら、ピザをパクつくマイキーに萌えるのだそう
日本では残念ながら、12年版アニメはファーストシーズンで放送が終わってしまいました。しかし、その設定や世界観を継承したのが、『ミュータント タートルズ:アニメイテッド』なので、またあの世界に触れたいと思っている方にはうってつけの1冊です。

ちなみに、小社より刊行されている『ミュータント タートルズ大全』では、ここまで述べてきたアニメ化の経緯、変遷を含めてタートルズの歴史がより詳細に解説されています。

気になった方は、ぜひご一読ください。
ミュータント タートルズ大全
アンドリュー・ファラゴ[画]
ピーター・レア―ド[序文]
定価:3,900円+税
◆好評発売中!◆
それでは、今週はこの辺りで。また来週お会いしましょう!


(文責・山口侘助)