2015年3月30日月曜日

スチームパンク愛好家必携の『スチームパンク・バイブル』

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんばんは!

今月は新刊タイトルが6冊と多くありましたが、その中からアメコミではない一冊『スチームパンク・バイブル』をご紹介したいと思います!
『スチームパンク・バイブル
ジェフ・ヴァンダミア[作] S・J・チャンバース[作]
定価:本体3,400円+税
●好評発売中!●
“スチームパンク”とは、サイエンス・フィクションやファンタジーのサブジャンルの1つで、1980年代から1990年代初めごろまで特に人気を博しました。

物語の設定として、蒸気機関ヴィクトリア朝のイギリス西部開拓時代のアメリカを舞台とすることが多く、その中にSFやファンタジーの要素を組み込んでいます。

代表的な作品の一例として、小説では、ジュール・ヴェルヌによる『海底二万里』やアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』が挙げられ、アニメ作品には、『スチームボーイ』『天空の城ラピュタ』『鋼の錬金術師』などがそれにあたります。

本書は、創始者ジュール・ヴェルヌとH・G・ウェルズの作品をピックアップしながら、スチームパンクという言葉を作り出し、文学のジャンルとして築いた作家たちにクローズアップしその歴史解説やルーツを探っていきます。

また、衣装や装身具といったファッションの世界芸術音楽などライフスタイルに関する側面もイラストや写真など、多数のビジュアルを用いて紹介しております。

ここで、スチームパンク愛好家、“スチームパンクス”の7つのサブジャンルを簡単にご紹介します。それぞれ下記のような特徴を持っていますが、どれか一つでもその世界観に興味があるようでしたらあなたも立派なスチームパンクス!?

1.ボイラーパンク
これは貴族に対抗した労働者が生んだもので、石炭を掘ってスチームパンクには欠かせない蒸気を作り出しました。
蒸気機関車はもちろん、蒸気で動く飛行船や象などもスチームパンクには登場します。

2.クロックパンク
ボイラーパンク同様、スチームパンクに欠かせない要素のひとつである時計仕掛けを指します。
時計を構成する歯車は象徴的なデザインであり、ファッションの道具として懐中時計はマストアイテム。

3.ディーゼルパンク
ディーゼルパンクは比較的新しいサブジャンルで、蒸気がディーゼル燃料や原子力に取って代わられたことから発生しました。
これにより、ロケットシップや大きな建築物も作ることが可能となります。その夢は遙か宇宙まで広がっていきます。

4.ガスライト・ロマンス
ファッションにヴィクトリア朝を取り入れ、主に英国人にて構成されています。
紳士スタイルは、ネクタイを締めて、葉巻とブランデーを片手に。淑女はボタンの付いたロングブーツを履き、紳士にようにタキシードを着てステッキを持てば完璧です。

5.マナーズパンク
パーティ、または大邸宅での舞踏会を楽しむジャンル。
たくさんのジュエリーやアクセサリーを身につけて、独創的なファッションに飾り立てます。

6.レイアガン・ゴシック
アール・デコと流線形の近代的なデザインを特徴とするレトロフューチャーなスタイル。
このようなコンセプトは、映画やさまざまなSFの舞台に登場します。

7.スティッチパンク
スチームパンク構成要素の中でも、DIY精神や手工芸をテーマにした内容。
ファッションも、工具類をしまうポケットがたくさん付いた機能性を重視したものになっています。
またスチームパンクのイメージでもある、ゴーグルは必需品です。

ファッションや小道具において、DIYという精神がとても重要なスチームパンクですが、
本書の中では実際にブリキ缶へエッチングを行うというプロジェクトが紹介されています。

これはスチームパンクに関わるプロジェクトは必ずしも、大規模である必要はなく、大切なのはみんなが参加できることをモットーに必要な道具から下準備、絵柄の作成、印刷、転写など各ステップを写真入りで丁寧に説明してくれています。

一人で挑戦するにはちょっと、難しそうですが友達と一緒に作ってみたい気になります。
仲間のスチームパンクスと一緒に、エッチングを施したオリジナルのミント缶を持ってたらちょっとお洒落かもしれません。

また、コミック関係ですとアラン・ムーアマイク・ミニョーラもその作風にスチームパンクの影響をみることができます。

ミニョーラの代表作『ヘルボーイ』の巨大な右手や、敵として登場するバイオメカニカル・クリーチャーもスチームパンク的装置として参考にしたそうです。
こうして見ると、アメコミとも実はつながっていますね。

そして、関連という点でいえばNHK Eテレで放送している「ムジカ・ピッコリーノ」という子ども向け番組。それまでは、特に気にとめることもなく子どもと視聴していましたが、本書に携わることで出演者の衣装や世界観がスチームパンクであることが分かりました。

その他、音楽ではスマッシング・パンプキンズの「Tonight, Tonight」のPVもまさにスチームパンク全開!

このように、様々なジャンルに影響を与えているスチームパンク
その全てを理解するのに最適な『スチームパンク・バイブル』は好評発売中です!

すでにゴーグルを装着しているスチームパンクスの方も、これからスチームパンクスの仲間入りを考えている方もぜひ本書を手に取っていただき、レトロで新しい、不思議なジャンルをお楽しみください。

それではまた次回に。


(文責:渡辺直経)