2014年9月29日月曜日

担当編集も涙した『スパイダーマン:ステイシーの悲劇』

みなさんこんにちは!

今月のShoProBooksは、アメコミ新刊が3日と26日の2回発売でした。もう皆さんのお手元には届きましたか?

まず9月3日に発売したのがガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュードや、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)&新世紀(ライジング) アートブック』といった映画公開と同じタイミングでお届けしたかった作品。

それから先週金曜日・26日は、大好評のバットマン「喪われた絆シリーズ」3部作完結編ジョーカー:喪われた絆〈下〉、そして前作発売より1年経っても人気の衰えないマーベルワールドの異端児デッドプール:スーサイド・キングスなどなど、重要&話題作品目白押し月間です。

それらの中でまだ1点、この「アメコミ魂」でご紹介していない重要なコミックがあるのにお気づきでしょうか? そう、我らの親愛なる隣人「スパイダーマン」の最新刊スパイダーマン:ステイシーの悲劇です!

ShoProBooks編集部と「アメコミ魂」では、このコミックを『アメコミ&スパイダーマン初心者』に贈るこの秋の推薦図書としてオススメします!


◆重要なポイントとは!
『スパイダーマン』の世界に根底ともいえる重要エピソードには、”愛する人の死”が描かれてきました。スパイダーマンシリーズを長く読んでいる方にはもうお馴染みですね。

ひとつは、ベンおじさんの死。
「スパイダーパワー」を手に入れた主人公 ピーター・パーカーが、父親代わりだったベンおじさんを殺されてしまう出来事。自分が強盗を見逃すことさえなければ、おじさんを喪うことはなかった、という自責の念が、今に至るまで「スパイダーマン」の根底を形作っています。このエピソードは、記念すべきスパイダーマン登場のストーリーのクライマックス。ShoProBooksベスト・オブ・スパイダーマンの最初のエピソードにもちろん収録!これまたアメコミ魂でも紹介しています。
そしてもうひとつが、このスパイダーマン:ステイシーの悲劇に納められているエピソード。
今年公開された映画『アメイジング・スパイダーマン2』ストーリーのモチーフともなっている、といえばもうお分かりでしょうか? ピーター・パーカーにとって最初の恋人「グウェン・ステイシーの死」です。


◆グウェンの「悲劇」
アメコミ魂では、7月にスパイダーマン:ブルーを紹介しました。
スパイダーマン史上でも特に魅力的なヒロインといえば、そこでも登場する「グウェン・ステイシーとメリー・ジェーン」2人のうちどちらかと言っても過言ではないでしょう!
全世界の半分を占めるであろう「MJファン」の方には申し訳ないのですが、本作でのMJはピーターたちの友人としてほんの少しの登場です。その代わりに、グウェンの肉親であり、スパイダーマンのよき理解者でもあるステイシー警部が登場します。

新聞「デイリー・ビューグル」の報道から、市民に反社会的な存在だとしてネガティブイメージをもたれているスパイダーマン。しかしステイシー警部は、スパイダーマンの本質を信じてくれた数少ない理解者でした。 その警部が、スパイダーマンとヴィランとの戦いに巻き込まれたことはスパイダーマンに大きな衝撃を与えます。スパイダーマンの腕の中で息絶える寸前、ヒーロー「スパイダーマン」にではなく娘の恋人「ピーター・パーカー」へと語りかける警部。愛する娘をその恋人へ託す父親の姿には、涙なくしては読み進むことができません。

しかしスパイダーマンの正体は絶対の秘密。「父親を亡くした原因はスパイダーマンである」と思い込んでしまったグウェンを前に、ピーターはどうすることもできないのでした…。


◆復活しない命
…といっても、アメコミといえば「実は生きていた!」というストーリーはよくあります。
絶命シーンまで描かれていたのに死んでいたはずのヴィランが復活するのは序の口で、メインストリーム『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』では過去にまで遡ってストーリーの改変が起きました。

現在、アメリカのマーベルコミックス刊行中のスパイダーマンはスパイダーマン:ブランニュー・デイ 1 以降の世界が基本設定になっています。一方で、復活していないキャラクター……それが「ベンおじさん」であり「ステイシー警部」であり「グウェン・ステイシー」です。
これらのキャラクターたちについては、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ編集者 トム・ブレブールトの「創作の手引き」にも考え方が記されています。(スパイダーマン:ブランニュー・デイ 1 に収録)

もしかすると、まだ今のところ登場していないだけかもしれません。しかし過去を背負ったヒーロー「スパイダーマン」は、この悲しみを乗り越えてこそのヒーローであって欲しいとも思うのです。

いかがでしたか?

「映画から『スパイダーマン』を知った」という方には、もしかするとグウェンは登場人物紹介の一人でしかなかったかもしれません。そんな方でも本書を読んでいただければ、1970年代に全米のコミックファンに衝撃を与えた大事件の一端を感じることができるのではないでしょうか。

そしてさらに既刊スパイダーマン:ブルーと繋げて楽しんでいただくと、主人公 ピーター・パーカーの、ヒロイン グウェン・ステイシーへの秘めた悲しみと想いがよりいっそう深いものとして味わうことができると思います。

この時期にスパイダーマンのエピソードを綴った脚本担当 ジェリー・コンウェイにまつわる秘話や、原書のストーリーではこのあとどうなったか、などなど資料性も高いと好評の解説小冊子も付属。翻訳担当 高木亮氏、渾身の増ボリューム!全6ページでお届けします。

秋の夜長に、ちょっとセンチメンタルな1冊、読んでみませんか?


(文責:石割太郎)

2014年9月22日月曜日

三部作ここに完結! 『ジョーカー:喪われた絆〈下〉』

みなさん、こんにちは!

日本でも劇場公開が始まった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 そして、2016年2月公開予定とついに発表された『デッドプール』映画化 ……など、このところマーベル映画の話題が続いていますが、アメリカでは、DCコミックステレビドラマを中心に盛り上がっています。

 番組改編期を迎えた最近のトピックとしては……

ARROW/アロー』第3シーズンには、アトム(レイ・パーマー、演じるのは元スーパーマンのブランドン・ラウス!)ラーズ・アル・グールも登場予定! そんな『アロー』のヒットから生まれた新番組『フラッシュ』では、キャプテン・コールドウェントワース・ミラーが、ヒートウェーブドミニク・パーセルが演じて、『プリズン・ブレイク』の兄弟が再会か!? さらに、バットマンの前日譚的ドラマ『ゴッサム』と、『コンスタンティン』の放送も迫る!

……といったところでしょうか。映画方面でも、『ガーディアンズ』の成功に刺激を受けたのか、リージョン・オブ・スーパーヒーローズ(!)の映画化話が持ち上がったり、『シャザム!』の映画版で、“ロック様”ことドウェイン・ジョンソンブラック・アダム役が決定したりと、先々のお楽しみは増すばかり。アメコミファンとしては、これからもDCとマーベルにはぜひ前向きに競い合ってほしいですね。

一方、日本では、7月から始まった“喪われた絆”三部作がいよいよ完結! ということで、今回は9月26日(金)発売予定『ジョーカー:喪われた絆〈下〉』を紹介させていただきます。『バットマン:喪われた絆』では描かれなかった物語が明かされるこの作品、下巻は“ロビン特集”とでも呼べる内容になっております上巻については、こちらをご参照ください)
▲『ジョーカー:喪われた絆〈下〉』
定価:本体2,200円+税
●9月26日発売予定●

収録エピソードとしては……

レッドフード&レッドロビン……レッドフード(ジェイソン・トッド)レッドロビン(ティム・ドレイク)が姿を消し、アウトローズティーン・タイタンズはそれぞれのリーダーの行方を探す。だが消えた二人と両チームには、恐るべき罠が仕掛けられていた……。(収録誌:『レッドフード&アウトローズ』『ティーン・タイタンズ』

ナイトウィング……ナイトウィング(ディック・グレイソン)を狙うジョーカーが目をつけたのは、彼の古巣であるヘイリーズ・サーカスの団員だった!(収録誌:『ナイトウィング』

ロビン……父であるバットマンの力になろうと、アルフレッドを探すロビン(ダミアン・ウェイン)。手がかりをもとに、動物園へ向かう彼を待ち受けていたのは……。(収録誌:『バットマン&ロビン』

エピローグ……事件解決後、ウェイン親子アルフレッドが過ごす一夜。(収録誌:『バットマン&ロビン』
▲『バットマン:
喪われた絆』
●好評発売中!●
レッドフード&レッドロビンのエピソードでは、アウトローズティーン・タイタンズというそれぞれが率いるチームのメンバーも集結して、クロスオーバーの醍醐味が満喫できます(ライターは90年代のX-MENを支えたファビアン・ニシーザスコット・ロブデル!)

そして、ナイトウィングのエピソードでは、サーカス出身という彼の設定が、バットマン:梟の夜』とは別の角度から掘り下げられています。

個人的に印象的だったのが、『バットマン&ロビン』誌に収録されていたロビンのエピソード(とエピローグ。父を気遣う息子の思いと、一度見たら忘れられないパトリック・グリーソンの強烈なアートワーク! ……ダミアン・ウェイン、やっぱりいいキャラクターだなあと。

JH・ウィリアムズIII『プロメテア』が担当して独自路線を行っていたバットウーマンや、“アフリカのバットマン”ことバットウィング以外は、上下巻合わせれば、当時のバットマン系キャラクターがほぼ網羅されています。各キャラクターの前後の流れも、翻訳者の高木亮氏が解説でフォロー! 実写化の噂もあるスーサイド・スクワッドティーン・タイタンズも登場する『ジョーカー:喪われた絆』、ぜひ2冊揃えてお楽しみください。
▲『ジョーカー:
喪われた絆〈上〉』
●好評発売中!●
本国ではこの後、ニュー52版バットマンの新解釈オリジンを描いた1年にわたるエピソード『バットマン:ゼロイヤー』へと突入、さらに現在は、新たに週刊誌も立ち上げられて、大作『バットマン・エターナル』が始まっています。小社でも、うまい形で追いかけていきたいと思っておりますので、今後ともお引き立てのほどよろしくお願いいたします!

▲『バットマン:ノーマンズ・ランド1』
定価:本体4,200円+税
●9月26日発売予定●

ところで、今月はもう1冊バットマンのコミックが発売されます。“喪われた絆”三部作では、バットマンの最新の姿をお届けしましたが、こちらはもはや古典とすらいえる名作……そう、『バットマン:ノーマンズ・ランド』です! ニュー52以前のバットマンでは、ベインとの対決を描いた『ナイトフォール』と並ぶ重要作にして超大作を、全4巻にてお届けします。9月26日(金)にはまず第1巻を発売。アメリカ政府に見捨てられ、無法地帯と化したゴッサムシティに残ったヒーロー、ヴィラン、そして一般市民の人間模様を活写した読み応えのある作品です。秋の夜長のお供にぜひ!

ではでは、今日はこんなところで失礼します。


(文責:中沢俊介)

2014年9月15日月曜日

いま日本で一番ホットなアメコミ「デッドプール」を語る

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんばんは!

今回ご紹介するタイトルは『デッドプール:スーサイド・キングス』です。
▲ 『デッドプール:スーサイド・キングス』
マイク・ベンソン、アダム・グラス[著]
カルロ・バルベリー、ショーン・クリスタル[画]
定価:本体2,000円+税
●9月26日発売予定●
そう、マーベルの人気キャラである“デッドプール”ことデップーの再登場です!
ちょうど1年前に刊行し話題を呼んだ、デッドプール単独誌初邦訳の『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』においても、クールでお茶目な冗舌ぶりが発揮されていましたが、本書ではさらにパワーアップしたデップーが大活躍!
 『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』
ヴィクター・ギシュラー[著]
ボン・ダゾ「画」
定価:本体2,800円+税
●好評発売中!●
「アメコミ魂」の読者さんはご存知かもしれませんが、あらためて“デッドプール”を紹介したいと思います。本名はウェイド・ウィルソン。極秘の超人兵士計画「ウェポンX」の参加者であり、ウルヴァリンから抽出されたヒーリング・ファクターを注射されたことで超回復能力を取得した、まさに「再生可能で更正不可能な男」デッドプールです。彼は、金次第ではヒーローにもヴィランにもなるクレイジーな傭兵で、通常の人格の他に二つの人格を持つ多重人格者です。コミックにおいても黄色と白のふきだしによって、各人格が会話をしています。また彼の目には幻覚(妄想)が映ることが多く、“Pool-O-Vision”と呼ばれるこの現象も多くの場面に出てきます。

そして、彼の最大の特徴が「第四の壁の突破」にあります。「第四の壁」とは演劇用語で、舞台を一つの部屋とした場合、演者と観客との間にある目に見えない壁のことです。その「第四の壁」を突破するということは、本来フィクションであるはずの演者が観客に語りかけたりする行為を意味します。デッドプールは、キャラクターの特性として「第四の壁の突破」ができる設定になっているので、二次元(コミック)のキャラクターであることを自覚する発言や読者へ語りかける場面がよくでてきます。この設定こそが、デッドプール人気を支えているといっても過言ではありません。コミック以外では『MARVEL VS. CAPCOM3』という格闘ゲームにも登場しましたが、その時の技も、体力ゲージバーで相手を殴るといったように、見事「第四の壁」を突破してくれました……(笑)。

では、そんなデップーが四方八方暴れ回る本書のあらすじを紹介しましょう。

我らの“冗舌な傭兵”のもとに、100万ドルの暗殺依頼が舞い込んだ。だが、高額な暗殺の裏には、大いなる陰謀が仕組まれていた。罪のない一般市民を殺害したという濡れ衣を着せられたデッドプールは、あろうことかパニッシャーに命を狙われることになる。しかし、彼の無実を信じる者もいた。その名はデアデビル……。暗黒街の仕置人パニッシャーを前にして、恐れを知らぬ男に勝ち目はあるのか――!?

あらすじだけでも面白そうですよね! 背中に背負った刀を振り回しながらのバトルアクションや、パニッシャーデアデビルといったゲスト出演キャラクターたちとのやりとりも見逃せません。また、マーベルを代表するスパイダーマンも本書に登場し、デッドプールとの引用合戦を繰り広げます。それをデアデビルが仲裁しようとするも、結局二人は聞く耳を持たず、デアデビルは諦めてその場を去ってしまうというシュールな場面もあり、ゲストキャラクターファンも楽しめることでしょう。

物語の後半では、そのヒーローたちが力を合わせてレッキング・クルーと戦うのですが、それぞれの能力や戦術を駆使したド派手なバトルシーンも圧巻です。とはいえ、やっぱりデッドプールのコメディアンな一面が最大の魅力かと。注意して見てみると、あの有名ボクサーが“Pool-O-Vision”に写り、きつい一発をもらったりなど思わずニヤリとしてしまう小ネタもありました! ぜひ、ご自身の目でそのシーンを探してみてください。

本書は、ミニシリーズ「デッドプール:スーサイド・キングス」に加え、ワンショット「デッドプール:ゲームズ・オブ・デス」というもう一つエピソードが収録されております。いずれも純粋な読み切り作品であり、気軽に楽しむことができると内容になっていると思います。
「デッドプール:ゲームズ・オブ・デス」はそのタイトルからも連想されるように、参加者9名の戦士によるサバイバルゲームです。

彼らは、最後に残った一人が手にすることのできる多額な賞金のため、それぞれ生死を賭けた試練に挑戦することになるわけですがその内容が凄まじい……。そんな過酷なサバイバルゲームに、デッドプールがとある高額報酬の依頼のために“ウー・ピン・ユァン導師”のマスクを被って、参加しちゃうというストーリーです。果たして、ゲームの行方は――!?こちらも、デップーが冗舌とともに大暴れしていますので合わせてお楽しみいただければと思います。

ということで、マーベルのスーパーヒーローとは一風変わったキャラクターのデッドプール
そのハチャメチャな活躍ぶりを一度見たら、必ず彼のファンになってしまうことでしょう!?

ただし、電車の中で読むには注意が必要です! 思わず、プッと吹き出してしまうことも(笑)。発売予定日は9月26日頃。ぜひ、お手に取っていただき、究極の2.5次元キャラであるデッドプールの活躍を思う存分楽しんでいただければと思います。

過去の記事『「デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス」を語る』もあわせてご一読ください。

それではまた次回に。


(文責:渡辺直経)

2014年9月8日月曜日

担当編集が語る『猿の惑星:創世記&新世紀アートブック』

こんにちは。

8月下旬9月上旬は、ShoProBooksの新刊が目白押しでした。

その中でも、2週前の「アメコミ魂」で紹介しました「ガーディアンズ·オブ·ギャラ​​クシー:プレリュード」先週紹介「ホークアイ:マイライフ·アズ·ア·ウェポン」など、これまでのShoProBooksラインナップからはちょっと変わった作品も皆さんに好評のようで、今後の展開にもご期待いただけたらと思います

さてそんな「コミック」の多かった最新ラインナップの中から今回は、こちらも大注目最新映画アートブック『猿の惑星:創世記(ジェネシス)&新世紀(ライジング)アートブック』をご紹介します!

▲ 「猿の惑星:創世記(ジェネシス)
&新世紀(ライジング) アートブック」
シャロン・ゴズリング、アダム・ニューウェル[著]
マット·リーヴス[序文]
定価:本体3,200円+税
●好評発売中!●
原作を読んだ​​ことがなくても「猿の惑星」というタイトルは聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?

原作はフランスの小説家、ピエール·ブール1963年に発表した小説です。
そして衝撃のラストシーンで有名な映画「猿の惑星」1968年に公開されました。

以後、「猿の惑星」はシリーズとして何度も映画化されています。

今月19日に公開される最新映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は、2011年に公開された『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』に続くストーリーです。

【映画「猿の惑星:新世紀(ライジング)」予告編(100秒)】


科学研究によって人類に育てられ、知性を得たチンパンジー「シーザー」。
仲間を率いて、人類への反乱を起こした前作『創世記』から10年の時が過ぎている。
より勢力を拡大し、手話と言語を操る猿たちは、森の奥に文明的なコロニーを築いていた……。

映画で多数登場する猿たちは実際の猿ではなく、CGによって再現された映像ですが、シーザー役アンディー·サーキスをはじめとしてこれらは「モーションキャプチャー」によって、俳優がカメラの前で演じた動作を再現したものなのです。

言葉ではちょっと掴めないのですが、映像を見ればまるで実際の猿たちが今まさにそこにいるかのよう!

このリアルな猿たちを映し出した映像は、最高級のVFX技術を持つ制作会社「WETA」の手によって
2011年の映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』でスクリーンに登場しました。
それからさらに3年、より高度な技術革新を経て新作『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が誕生します。

本アートブックでは前作『創世記』新作『新世紀』2部構成で解説しています。

前半の「創世記」パートでは、過去大成功を収めた「猿の惑星シリーズ」を新たに展開するにあたり、製作当初、企画に関して行われた様々な検討のほか、モーションキャプチャー撮影の試行錯誤実際の収録風景と完成シーンの比較など、『猿の惑星』新シリーズ始動の舞台裏や、制作の現場を垣間見ることができます。

さらに、後半の「新世紀」パートでは、今作の制作指揮をとったSF映画界の奇才マット·リーヴス監督とプロダクションデザイナーを務めたジェームズ·チンランドが、猿たちの生み出した森のコロニーをどのように描こうとしたのか、や、街や施設の舞台設定猿たちの表情などなど、映画本編ではストーリーに集中しているとつい見落としてしまったような隅々までの細かな要素を多数収録しています。

本書は「アートブック」の性質上、その撮影舞台裏をビジュアルとして収録していることが多いのですが、登場する人間性(&猿性?)の描写に対して制作陣の世界観へのこだわりと、それを感じたキャストの感銘もインタビューから見ることができます。

より深く楽しみたい「猿の惑星」シリーズのファンの方はもちろん、映画を見たときにちょっと難しかった方にも、満足いただけると思ってます。

最後に、映画本編で「おっ!」と思ったワンシーンをご紹介。

森のコロニーで子猿たちへ猿の文明を教えているオランウータンのモーリスは、森へやってきた人類と心を通わせる中で少年が持っていた1冊のコミックに興味を持ちます。

その見えた表紙はなんと...オルタナティブコミックの金字塔『ブラック·ホール』!
▲ 「ブラック・ホール
チャールズ·バーンズ [著]
定価:本体1,800円+税
●好評発売中!●
肩を寄せ合いながらその1冊のコミックを読む姿は、言葉は通じ合わなくとも心を交わすことができる、というテーマともつながる重要な1シーン。

この1人と1匹がどのような部分にシンパシーを感じたのか気になりますよね?!

既読の方はもう一度読み返していただきたいですし、未読の方へはどんな内容かということで、ShoProBooksのサイトにてムービーと共に紹介しています
こちらも↓ご覧ください!
「ブラック·ホール」 ShoProBooks

本書『猿の惑星:創世記(ジェネシス)&新世紀(ライジング)アートブック』では、前作映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のブルーレイソフト、か、新作映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の非売品レンチキュラーマウスパッドが当たる<公開&発行記念購入者キャンペーン>も実施中です。

ご応募お待ちしてます!

それではまた。


(文責:石割太郎)

2014年9月1日月曜日

訳者自薦『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』

みなさま、こんにちは!

『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』の翻訳を担当させていただいた中沢です。今回は、ただいま好評発売中の本書について、僭越ながらご紹介させていただきたいと思います。

『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』
マット・フラクション[作]
デイビッド・アジャ他[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中!●

ホークアイ(クリント・バートン)といえば1960年代からの古参ヒーローで、なかなか単独オンゴーイング誌を持てないB級キャラとはいえ、マーベルファンにはおなじみの存在でした。そんな彼の知名度が一気に上がったきっかけは、やはり2012年の映画『アベンジャーズ』。そして、映画の公開とタイミングを合わせて創刊されたのが、このたび日本版が発売されたホークアイの新シリーズです。

新しい『ホークアイ』はたちまち高評価を獲得し、アイズナーハーベイといったコミック賞でライター、アーティスト、カバーアーティスト、カラリスト、新シリーズ、シングル・イシューといった各部門に軒並みノミネートされる人気シリーズになりました。批評的な面では、マーク・ウェイド/クリス・サムニー他による『デアデビル』(祝ドラマ化!)と並んで、“マーベル・ナウ!”と銘打ち心機一転を図っている現在のマーベル・コミックスを代表する作品ではないかなと思います(とはいえ、どちらもマーベル・ナウ!が始まる前に創刊したシリーズではありますが)

そんな話題作『ホークアイ』を手がけた作家陣はというと……。

ライターはマット・フラクションイメージ・コミックスから2006に発表したSFスパイアクション『カサノバ』(のちにマーベルに移籍)で高い評価を受けた彼は、その後マーベルでアイアンマンソーパニッシャー、そしてX-MENといったキャラクターのメイン雑誌を担当し、さらに2011イベント“フィアー・イットセルフ”でもメインライターを務めて、マーベル・ユニバースの一翼を担ってきました。その頃から機知に富んだ、スピード感のある物語作りに定評がありましたが2009『インビンシブル・アイアンマン』アイズナーを受賞)『ホークアイ』ではさらに進化した、語りの妙技を見せてくれます。
『デイトリッパー』
『カサノバ』の作画を担当した
ファビオ・ムーンと
ガブリエル・バーによるコミック。
定価:本体2,600円+税
●好評発売中●
アーティストはスペイン人デイビッド・アジャ。本作のパッと見たところの“ユニークさ”に貢献しているのは、何よりもこの人のアートではないかなと。フラクションが本格的にマーベル進出を果たした作品として名高い、2007『イモータル・アイアンフィスト』エド・ブルベイカーとの共作)以来のコンビです。その頃はマイケル・ラークのような、ノワールっぽい絵柄が得意な人なのかなと思わせましたが、腕に磨きがかかって、よりスタイリッシュな絵柄へと成長しています。そして、本作によってアイズナー賞ではベスト・ペンシイラー/インカー2013年)と、ベスト・カバーアーティスト2013年と2014年の2年連続!)受賞。この後の号でも、フラクションと組んでさらに先鋭的ながら楽しい実験を繰り広げています。

シリーズはフラクションとアジャのコンビ(とカラリストマット・ホリングスワースが中心になって進められ、そこに時折ゲスト的に他のアーティストが招かれます。本書の後半に収録されたエピソードを担当したのはハビエル・プリード
『ロビン:イヤーワン』
ハビエル・プリードが作画を担当。
定価:本体2,200+税
●好評発売中●
クールなスタイルのアジャとは対照的に、どちらかというとルーズな線ユーモラスな雰囲気を醸し出しています。マーベル・ナウ!系では他に『シーハルク』の作画を担当していて、こちらも弁護士事務所を開いた怪力ヒロインの日常を描く、楽しい作品です。

また、巻末にはフラクションが最初に“二人のホークアイ”を描いた、2008『ヤング・アベンジャーズ・プレゼンツ』第6号も収録されています。そちらの作画はアラン・デイビス! 『ミラクルマンやかつてのX-MEN系列作で知られる、大ベテランです。アジャやプリードとは画風が異なりますが、“いわゆるアメコミ風”の絵であるぶん逆に、フラクションの物語作りのうまさが浮かび上がる、好エピソードです。

本国では現在のところ19(と増刊1号)まで発売されていますが、本書以降もアパートの住人のキャラクターが掘り下げられたり、クリント・バートンを巡るマーベルの女性キャラがずらりとそろったり、かつて死闘を繰り広げたと再会したりと、まだまだ面白い展開が控えています。全身アディダスで固めたロシア人ギャングや、マダム・マスクとの因縁も続きます。そんな中に“ピザ犬”ラッキーの視点からストーリーを語りきった、クリス・ウェアを思わせる驚きのエピソード(この号でアイズナー賞獲得!)もあったり……。最近22号で完結予定と発表されましたが、確かに人気があるからといっていつまでも続けられるテンションのシリーズではないなと納得させられました。

マーベル・ユニバース本体の切り盛りはジョナサン・ヒックマンリック・リメンダーといった、同世代のイメージ・コミックス出身ライター(とブライアン・マイケル・ベンディスに任せて、ニューヨーク市ブルックリンを中心に“フラクションバース”とでも呼べる独自のユニバースを作り上げているこのシリーズ、アメコミ史に残るランになるのは確実です。本国でも完結間近、日本版も最後まで完走できるように、応援よろしくお願いします!


(文責:中沢俊介)