2014年5月5日月曜日

あの超等身大ヒーロー“キック・アス”が帰ってきた!

こんにちは!

今年のゴールデンウィークは日並びの影響で、遠出するよりも近場で過ごされた人のほうが多いのではないのでしょうか。また、趣味に没頭する時間に充てたり、自宅でゆっくり過ごされたり、読者の皆様もそれぞれ連休を満喫されているかと思います。

『キック・アス2』
マーク・ミラー[作] ジョン・ロミータJr.[画]
定価:本体2,200円+税
●小社より絶賛発売中●
さて、連休のさなか、今週も「アメコミ魂」を更新しました。今週は先日発売したコミック『ヒット・ガール』『キック・アス2』を、可能な限りネタバレを回避しながら紹介いたします。う~ん、少年少女が活躍する物語ではありますが、「こどもの日」とは縁遠いキャラクターたちが登場する作品ですね……。

『ヒット・ガール』『キック・アス2』の2作品とも、今年2月に劇場公開され、話題を呼んだ映画『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』の原作コミックで、映画には2作品のエッセンスが組み込まれています。

映画をご覧になった方は、あのシーンは原作ではこのシーンだったんだなと思い出しながら楽しむことができます。当然、映画をご覧になっていない方も原作コミックだけで充分楽しめますし、7月2日に発売される本作のBlu-ray&DVDの予習にもなりますので、ぜひこの機会に2作品ともご覧ください。

「アメコミ魂」の読者であればご存知かもしれませんが、映画『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』は、2010年に公開したマシュー・ヴォーン監督の『キック・アス』の続編にあたります。ちなみに続編である本作では、マシュー・ヴォーンはプロデューサーとして携わっています。映画『キック・アス』の日本公開当初は4館だけでしたが、その後、口コミで話題となり、さらにヒット・ガールを演じた“クロエちゃん(クロエたん)ことクロエ・グレース・モレッツの人気が爆発し、最終的には70館以上の劇場で公開され、スマッシュ・ヒットとなりました。魅力的な愛くるしい女の子ヒットガールが、その容姿とは裏腹に暴言を吐き、残忍な暗殺者という設定もウケたのだと思います。
『キック・アス』
マーク・ミラー[作] ジョン・ロミータJr.[画]
定価:本体2,200円+税
●小社より絶賛発売中●

もちろん、この第一作目の映画『キック・アス』も原作はコミックです。日本の映画公開1ヶ月前に刊行した原作コミック『キック・アス』は、原書や映画の前評判を聞いた人たちにいち早く購入していただき、口コミや映画公開後のヒットに伴い、幾度も重版をいたしました。2014年5月現在、入手困難な作品となっていますが、こちらも重版中ですので今しばらくお待ちください。

『ヒット・ガール』と『キック・アス』を紹介する前に、簡単に原作コミック『キック・アス』を紹介します。いずれのコミックも映画原作ではありますが、原作と映画では内容やラストは異なりますので、原作もぜひお楽しみください。

まずは『キック・アス』のあらすじを――。

どこにでもいるようなコミックオタクの高校生デイヴ・リズースキーは、退屈な日常を打破するために、覆面ヒーローとして世の中の悪と闘うことを決意する。ネット通販で衣装をそろえ、入念なイメージトレーニングを行い、ついに街の不良に立ち向かったデイヴだったが、ケンカの経験もないド素人の彼は返り討ちにあい、入院するはめに。それでも懲りずにヒーローとして街に出るデイヴは、屈強な男たちと格闘している姿を偶然ケイタイ動画で撮られてしまう。その動画がYouTubeにアップされ、デイヴは一躍人気者に。デイヴは自らを“キックアス”と名乗ることにし、“レッドミスト”と名乗るヒーロー仲間とも出会えた。さらにデイヴは私生活でも自信を持つようになった。クラス一の美人ケイティ・ドーマとも自然な会話を交わし、親密となるが……実際のところは彼女からは“ゲイ友”扱いに。結局、デイヴはこのコスチュームがなければ生きていけないと自覚し、活動を再開する。ある日、デイヴは仕事を募集するために開設したMySpaceからの依頼でとある現場に向かった。だが、複数の不良たちに囲まれ、またもやピンチに……。しかし、そこで自分と同じようにコスチュームを来て武器を振り回す、殺し屋少女“ヒットガール”(ミンディ・マクレイディ)に救われ、“ヒットガール”と“ビックダディ”に出会う。この出会いがきっかけで、キックアスは危険なギャングとの戦いに巻き込まれることとなった……さらに仲間であったはずの“レッドミスト”は街を牛耳るマフィアの首領の息子で……。

『ウォンテッド』
マーク・ミラー[作]  J・G・ジョーンズ[画]
定価:本体2,300円+税
●小社より絶賛発売中●
『キック・アス』は、2008年2月から2010年2月にかけて刊行された8冊のミニシリーズを収録した作品です。ライターは、『スーパーマン:レッド・サン』『アルティメッツ』、そして『キック・アス』同様に映画化もされた『ウォンテッド』のライターでも知られるマーク・ミラー。マーク・ミラーによれば、『キック・アス』はスーパーヒーローに憧れていた自身の少年時代の妄想から着想を得たとのこと。コミックファンなら誰しもが思い描いたことのある“妄想”が具現化したので読者の心を鷲掴みしたのでしょうね。まさに等身大のヒーローですもんね。

最近のマーク・ミラーはオリジナル作品を発表する傍ら、映像関係への創作に力を入れているようですね。出身地であるスコットランド政府の映画アドバイザーやTV制作会社ミラーワールド・プロダクションズのCEO、20世紀フォックス製作のマーベル映画のクリエイティブ・コンサルタントなども務めているそうです。

『キック・アス』の共同クリエイターでもあり、本作のペンシラーは、コミックファンには説明不要のジョン・ロミータJr.です。ミラーとJRJRの共同作業は小社刊行の『ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト』でも見られます。日本に向かったウルヴァリン……こちらの物語もアートも必読です。
『ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト』
マーク・ミラー[作] ジョン・ロミータJr.[画]
定価:本体3,200円+税
●小社より絶賛発売中●

さて、再びこの強力なタッグを組んで描いたのが『ヒット・ガール』『キック・アス2』になります。日本では同時刊行だったので「どちらから読めばいいの?」という疑問も聞こえてきます。 『ヒット・ガール』の原題は“KICK-ASS 2 PRELUDE: HIT-GIRL”ですので、『キック・アス2』の前日譚にあたりますから、『キック・アス2』よりも先に『ヒット・ガール』を読むことをおすすめします。たとえ逆になったとしても支障はないのですが、時系列でいえば上記のような順番になりますね。

『ヒット・ガール』は、タイトルどおり、殺し屋少女“ヒットガール”(ミンディ・マクレイディ)の物語。“ビッグダディ”亡き後、ミンディは実母と養父マーカスの下で、“普通の女の子”として学校に通っていた。だが、“普通の女の子”として振る舞うことが過酷な試練だと知ったヒットガールは、キックアスとある契約を結ぶことになる。彼女がキックアスに戦闘技術を教える代わりに、彼は“普通の女の子”としての振る舞いを彼女に教えるのだ。だが、その影で新たなマフィアのボスの影が彼らに迫っており……。 ここから先はぜひコミックスを読んでください(笑)。

当然、本書も映画の原作の一つなので、本書をベースにしたシーンが映画でもいくつも使われております。映画をご覧になった人ならおわかりかと思いますが、たとえば、ミンディがクラスメートに仕返しするシーン(仕返しの方法は違いますが)とか、養父マーカスに隠れてヒットガールの活動を終えたミンディが、急いで自宅に戻り、バイクを庭先に隠してベットに潜り込むシーンとか……それ以降はぜひ本書でお楽しみください!
『ヒット・ガール』
マーク・ミラー[作] ジョン・ロミータJr.[画]
定価:本体2,000円+税
●小社より絶賛発売中●

このスピンオフコミック『ヒット・ガール』は、2012年6月から2013年2月にかけて刊行された5冊のミニシリーズを収録したTPB(合本版)が底本になります。『キック・アス2』は、2010年10月から2012年3月にかけて刊行された7冊のミニシリーズを収録したものですので、刊行順でいえば、『ヒット・ガール』より『キック・アス2』のほうが先なんですよね。そして気になるシリーズ最終巻である『キック・アス3』は8冊のミニシリーズでつい先日完結しました。映画とは違ったラストを迎える『キック・アス2』を読めば、はやく続きの最終巻を読みたいところだとは思いますが、もうしばらくお待ちください。

『キック・アス2』は、スーパーヒーローチーム“ジャスティス・リー…”ではなくて、“ジャスティス・フォーエバー”の結成物語と映画の主軸になっている物語が描かれています。キックアスがチームアップ(個々で活動しているヒーローがチームを組むこと)する一方で、仇敵レッドミスト(マザーファッカー)はスーパーヴィランへの道を歩みはじめる。やがて、レッドミストはキックアスの近親者を標的にし……。 同じく、ここから先はぜひコミックスを読んでください(笑)。

最後に、『キック・アス』シリーズは業界人たちからも愛されている作品だと思うのですが、それは序文やバリアントカバーを担当しているメンバーからも窺えます。まず『キック・アス』の序文は、デッドプールやケーブルの生みの親の一人、ロブ・ライフェルド『ヒット・ガール』の序文は、バットマン“梟”シリーズや『バットマン:ブラックミラー』のライターでお馴染みのスコット・スナイダー『キック・アス2』の序文は、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』の記憶が新しい、映画監督のジョー・カーナハン。さらにこのシリーズのバリアント・カバーを担当したアーティストは、スティーブ・マクニーブン、デイブ・ジョンソン、ジョック、ジェフ・ダロウ、ビル・シンケビッチ、ブライアン・ヒッチ、トミー・リー・エドワーズ、レイニル・ユーなど豪華メンバーなのです!(各書の巻末にバリアントカバーの一部を収録しています)

残忍なシーンはちょっと苦手……という方には本シリーズはおすすめできませんが、そうでないかたならば、ぜひこのムーブメントを原作と一緒に味わってみてください!

今週はこのへんで……では、また来週!


(文責:山本将隆)