2017年5月23日火曜日

新生バットマン誕生! 新刊『バットマン:スーパーヘヴィ』解説

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
 
 今週ご紹介するのは、先々週発売されたばかりの新刊『バットマン:スーパーヘヴィ』です。


バットマン:スーパーヘヴィ
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中◆


 本書は、2015年5月に発表された序章的な短編の『DCスニークピーク:バットマン』#1と、続いて6月から10月にかけて刊行された『バットマン』#41-45を発売順に収めた単行本の日本版です。じつは当時DCコミックスでは大型イベント“コンバージェンス”が展開されていたため、前巻『バットマン:エンドゲーム』(小社刊)の最終話にあたる#40から本書の#41までには、1ヶ月半近いブランクがありました。
“コンバージェンス”は、4月から5月にかけて仕掛られました。その間、週刊のミニシリーズで主軸となる物語が進む一方で、レギュラー雑誌は中断し、代わりに2号完結の雑誌が40(つまり合計80冊)も刊行されました。
 このイベントでは、2011年にニュー52が始まったことで整理されてしまった旧設定の一時的な回復です。シリーズ各作品2号で、DCユニバースのさまざまな時間軸、設定、都市からキャラクターが集められ、戦いを繰り広げられました。

 ちなみに、同シリーズのなかでバットマンが主役のタイトルは以下の通りになります。

・『バットマン&ロビン』⇒フラッシュポイント直前のバットマン、ロビン(ダミアン・ウェイン)、レッドフード(ジェイソン・トッド)が、1990年代のヴィランのチーム、エクストリミスツと対決。
・『バットマン:シャドウ・オブ・バット』⇒ベインによる半身不随から復帰した頃のブルース・ウェインとジャン・ポール・バレーという二人のバットマンが、ワイルドストーム・ユニバースのチームであるウェットワークスと対決。
・『バットマン&アウトサイダーズ』⇒1980年代のクライシス前の同チームが、1970年代版のオマック(バディ・ブランク)と対決。
・『ディテクティブコミックス』⇒1980年代のクライシス前のアース2のディック・グレイソンとハントレス(ヘレナ・ウェイン)が、『スーパーマン:レッド・サン』(小社刊)のスーパーマンと対決。


 そして、“コンバージェンス”が終了すると、“DCユー”と銘打ってラインナップの刷新が図られました。20を超える新雑誌が立ち上げられ、定期刊行誌の総数も変化しました。世界観は引き継がれましたが、このタイミングで“ニュー52”というブランド名は使われなくなりました。この時期に創刊されたバットマンタイトルには、次のものがあります。

・『バットマン・ビヨンド』⇒別の時間軸のティム・ドレイクがテリー・マクギニスの後継者になる。
・『ロビン:サン・オブ・バットマン』⇒復活したダミアン・ウェインが主役。
・『ウィ・アー・ロビン』⇒本書にも登場したデューク・トーマスが、ゴッサムシティの少年少女による自警団を結成。


 以上のような状況のなかで、本シリーズは再開されました。上述の他にも、『ゴッサム・アカデミー』『グレイソン』『バットガール』(いずれも小社刊)など、当時のバットマン系列には新鮮で意欲的な作品が多く、そのことがライターのスコット・スナイダーに刺激を与えたと、本人もインタビューで語っています。それもあってか、本書に登場する“ロボバットバニー”版の新バットスーツのイラストは、“DCユー”を全体を象徴するイメージの一つに選ばれてました

 ブルース・ウェインの兄弟、オリジンの再定義、ジョーカーの正体……シリーズの幕開け以来、一貫してバットマンの本質に関わる大胆なテーマに挑み、質の高い仕事で成功を収めてきたスナイダー/カプロのコンビ。翌年の“リバース”を前に敢行された“バットマンの代替わり”という最大の挑戦は、どのような結末を迎えるのでしょうか?

 ということで、ここからは気になる本書のあらすじをご紹介したいと思います。

 ジョーカーとの決戦後、バットマンは姿を消した――。ヒーロー不在のゴッサムシティで、ダークナイトの再臨を望む声が高まるなか、ジム・ゴードン本部長はダークナイトの遺志を引き継ぎ、新たなバットマンとなることを決意する。しかし、パワーズ・インターナショナルが作り上げた最新型高機能バットスーツを身にまとい、ゴッサム市警と連携しながら街をパトロールするが、その力はオリジナルには遠く及ばない。新バットマンの苦闘が続くなか、ゴッサムの闇には新たな悪が胎動していた。犯罪者たちに特殊な能力を与えるヴィラン、Mr.ブルームが、その魔手を着実にゴッサム全域に広げつつあるのだ。果たしてコウモリの翼は、再びゴッサムの闇に舞い降りるのか?

 本書の主役はそう、ゴッサムシティの良心にしてバットマンの良き理解者のひとり、ジム・ゴードン市警本部長です。新たなヒーローを望む市民の声に応え、新たなバットマンになるという苦渋の決断をします。



トレードマークのメガネ、髭、くわえタバコをやめ、
海兵隊時代の髪型にしたジム・ゴードン。
そして新型バットスーツを開発した
パワーズ・インターナショナルのCEO、ジェリ・パワーズ。

 バットマンというあまりに偉大すぎるヒーローの名を継ぐ重圧のなか奮闘するゴードン。しかしゴッサムの犯罪はジムを待ってはくれません。日々、悪と戦ううちに、ジムはあることに気がつきます。突然増加したメタヒューマンたちに共通する物証が出てきたのです。


元はチャイニーズマフィアだったはずのジー・ジー・フンは、
石や建材を操る能力を得ていました。


犯罪者の遺骸から見つかった謎の物体“シード”。

メタヒューマン増加の背後にいるヴィランの存在が
徐々に明らかになります。その名はMr.ブルーム。


 果たして新生バットマンことジム・ゴードンは、Mr.ブルームの魔の手からゴッサムを救うことができるのか? そして、行方不明のブルース・ウェインは、ゴッサムに帰還するのか? 本書、そして次巻『バットマン:ブルーム』によって、ニュー52から続いてきた時系列のエピソードは、フィナーレを迎えます(この時系列の番外篇的エピソードを集めた『バットマン:エピローグ』も刊行予定です)。これまでバットマンを読み続けてきた人にとっては、まさに必読の書といえるでしょう。また、本書そして次巻と続く一連のエピソードを担当したのは、スコット・スナイダーとグレッグ・カプロの黄金コンビ。これだけ読んでも読み応え充分です。

 これから控えている「DCリバース」を迎える前に、ぜひこの大団円的エピソードを楽しんでください。

 それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう。

(文責・山口大介)
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