2016年9月20日火曜日

“悪カワ”ハーレイ・クインの誕生譚を描いた不朽の名作
『バットマン:マッドラブ 完全版』、三度目の登場!


読者の皆様、こんにちは! 「アメコミ魂」ライターの乙間です。

バットマン月間も第3週目となりました! 「アメコミ魂」読者の皆様は、もう購入者特典のオリジナルグッズはゲットしてくれましたよね? まだの方は先週の記事「BATMAN DAYって何?~」をもう一度読んで確認してくださいね。ここ最近発売した作品については、先々週の記事「スーサイド・スクワッド~」を読んでください!

●アメコミ魂の過去記事●
BATMAN DAYって何? 日本初4週連続バットマン刊行!さらに禅プールの『デッドプール Vol7:アクシス』発売!
スーサイド・スクワッドにパシリム、デップーにタートルズ 7月後半~9月前半の新刊情報を一挙紹介!


さて、今週は、明日発売の『バットマン:マッドラブ 完全版』を紹介します。映画「スーサイド・スクワッド」でも大活躍のハーレイ・クインがコミック初登場となった記念すべき作品です。“コミック初登場”と表現したのは、ハーレイ・クインは、アニメ「バットマン」から生まれたキャラクターだからです(アニメ初登場はシリーズ第7話「ジョーカーの陰謀」。さらに、この「マッドラブ」の物語もシリーズ最終話でアニメ化されています)。

また、映画でマーゴット・ロビーが演じるハーレイの衣装は、ニュー52のハーレイ・クインがベースになっていると思いますが、ニュー52が始まる前は、ハーレイ・クインといったら、この赤と黒のスーツがお決まりでした。映画でも一瞬、この衣装が出てくるのですが、原作ファンにとっては嬉しい場面でしたね。確か劇中でハーレイが差している傘の色も赤と黒だったような……。
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プロデューサー兼脚本家のポール・ディニと超一流のアニメーターであるブルース・ティムの二人が手がけた、この「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」は、1994年に発表され、アメリカの権威ある漫画賞であるアイズナー賞も受賞した作品です。コミックファンなら誰でも知っている名作で、小社では過去2回、収録内容を変えて邦訳版を出版しています。

2000年12月に『バットマン:マッドラブ』(写真左)として初邦訳。本編の「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」のほかに、「バットマン・アドベンチャーズ:ホリデイ・スペシャル」が収録され、ブルース・ティムやアニメ「バットマン」の声を担当した玄田哲章氏、アニメ「バットマン」に携わったアニメ監督の増田敏彦氏のインタビュー、さらにエピソードガイドも収録されています。定価:本体1,800円+税で発売されました。

2011年3月には、すでに絶版となった『バットマン:マッドラブ』を復刊すべく、ジャイブさんで刊行され、こちらも絶版となっていた『バットマン:ハーレイ&アイビー』と合本し、新たに『バットマン:マッドラブ/ハーレイ&アイビー』(写真中央)として蘇りました。定価:本体2,200円+税で発売されました。

そして、三度目の刊行となるのが本書(写真右)です。

後述しますが、今回は本編の「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」に特化した内容となっております。本編のほかに、ブルース・ティムによる「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」のオリジナル・レイアウト(下絵)とオリジナル・カラー・ガイド(色指定稿)がそれぞれ全ページ分収録されています。さらに未発表のアートも収録され、まさに完全版といってもいい内容となっています。

また、本編のカラーリングも過去の2作品と微妙に違うので、すでに過去作品をお持ちの方でもその違いを楽しめるかと思います。今回は、「マッドラブ」の復刊/再刊を求める読者のために企画したものなので、定価:1,600円+税での発売を決めました。

ちなみに、日本語版の表紙もそれぞれ変えて刊行しましたが、初回の表紙は、本編から画を抜き出してデザインした日本独自カバーに。2作目の表紙は、「バットマン:ハーレイ&アイビー」3号のカバーアートを使用。そして今回の表紙は、1992年に発売したオリジナル版のカバーアートを使用しました(底本である原書版と同じアートです)。


今回は「完全版」ということで、収録作品のほかに、旧版との違いをもう少し詳しく紹介したいと思います。


●旧版との違い《その1》:擬声語(オノマトペ)も日本語に
「UNNNGGH!」「BAM!」「POW!」などフキダシ内の台詞にある擬声語は、不自然でない範囲で日本語に置き換えました。下の写真でいうところの左ページにある1コマ目の「バシッ!」や2コマ目の「ドカッ!」などです。ただし、「HA HA HA HA HA!」は、ジョーカーの特徴を現している笑い声なので、原文のままにしております。、また、劇中にある描き文字の擬声語は原文どおりにしてあります。アメコミの雰囲気を崩さない範囲で、読みやすさを重視したつくりにしております。




●旧版との違い《その2》:オリジナル・レイアウトを収録
先にも述べましたが、本書にはオリジナル・レイアウト(下絵)とオリジナル・カラー・ガイド(色指定稿)がそれぞれ全ページ分収録されております。下の写真は、オリジナル・レイアウトです。画を描いている人にとってはとても勉強になる素材かと思いますし、本書ができるまでの工程を楽しめる付録の一つだと思います。







ブルース・ティムによる「あとがき」にも記されているのですが、下の写真の3コマ目は、もう少しセクシーな画だったのですが、編集者の求めに応じて、実は描きなおされていました。そのオリジナルの画がこのオリジナル・レイアウトに収録されているので、ぜひ本書で「幻の3コマ目」を確認してください!


●旧版との違い《その3》:オリジナル・カラー・ガイドを収録
オリジナル・カラー・ガイドには、本書のカラリストのリック・テイラーやその他スタッフに向けたブルース・ティムによる直筆のコメントが添えられています。どのような指示が出されているのか、とても興味深いですよね。なかには、この段階で作画のミスを発見し、修正の指示を出している場面もあり、現場感満載のカラー・ガイドを堪能してください。もちろん、コメントの訳は、本編の翻訳を担当した秋友克也氏に訳してもらっていますので、英語が得意でない方も問題ありませんよ!


さて、いかがでしたでしょうか?

旧版をお待ちの読者諸氏も本書を読みたくなったのではないでしょうか?

本書は、ハーレイ・クインのオリジンを描いた作品ですが、意地らしくも愛らしいジョーカーへの情愛が描かれており、読んだ人は必ずやハーレイ・クインのファンになってしまうはずです。

また、本作を復刊し、価格帯も比較的安価に抑えたのも、この作品を今以上に多くのアメコミファンの皆様に読んでいただきたいという気持ちからです。

作品としては、アメコミ初心者にもばっちりな内容ですし、価格も多少安ければ、お友達にもおすすめしやすいかと……ぜひお友達にすすめていただき、皆をハーレイの虜にさせてください!


今週は以上になります。


来週は、バットマン月間を締めくくる『バットガール:バーンサイド』を紹介しつつ、本書の翻訳を担当した中沢俊介氏とともにその魅力を探っていきたいと思います。中沢氏が本作を訳したかった意外な理由など、ざっくばらんなトークをお楽しみください!

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では、また来週火曜日の正午に。

(文責:乙間萌生)


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